ベタの種類

観賞魚であるベタは種類豊富ですが、お好みで選んでみましょう。

ベタはヒレの長さや形、体色で様々な種類があります。まずは最もポピュラーなのは「並ベタ」「トラベタ」と呼ばれるトラディショナル・ベタです。

まず初心者の方はこの品種をオススメします。最も丈夫で飼いやすく、安くてなおかつカラーも豊富です。赤色や青色、グリーン系統が多いですが、真っ白な品種もあります。長生きさせやすいですし、ベタが老いてきても外観の劣化は少ないです。(ベタが老いると、ヒレがヨレヨレになります。)

 

全体的な傾向としては、どの品種も真っ白なホワイト系はやや高価で、またブラック系は非常にレアですね。なかなか黒い子は生まれてこないので、お店で見つけたらかなりラッキーだと思います。

 

ダブルテール

ダブルテールは、尾ひれが上下2つに分かれた品種で、これもなかなかにフレアリングが美しいですね。筆者もこの品種を何匹か飼育していましたが、これもなかなか丈夫で飼いやすく、比較的安価です。ただし胴体の短い個体が多く、繁殖が難しい場合も。

 

色も非常に豊富ですし、他の品種よりもヒレが小さい分、かえって裂けにくいので安心して飼えます。ただしトラディショナルよりはやや高価になります。

 

クラウンテール

クラウンテールは、文字通り尾ひれが細く伸びて王冠のようになっている品種です。やや高価ですが鑑賞価値も高く、ヒレ避けもほとんど無く美しいです。最近は品種改良が進み、より複雑な形の尾ヒレをもつ個体も出てきています。

 

この品種はベタの中でも、最も独自の形状のヒレをもっています。クラウンテールはヒレが長いほど美しいと思います。ただしやや気性の激しい個体が多い気がします。

またクラウンテールは尾ひれの個体差がかなり大きく、その為「クラウンテール」の他にも違った名称の品種があり、またヒレの長さもかなり違う個体も存在します。

 

ハーフサン

赤いハーフサンの画像

クラウンテールとハーフムーンの中間的な特徴を持つ品種です。さらにダブルテールとも掛け合わせて、背ビレも大きく長くなっているのが特徴ですね。ただ画像のベタはややハーフムーンの血が濃いタイプです。

尾ひれの先が太陽のようにギザギザしている事から名付けられたようです。尾ひれが半円で広く、かつ長いほど美しいとされます。非常にレアな品種なので、国内の流通量も少ないですね。

 

コームテール

コームテール

クラウンテールの亜種で、尾ひれがクシ(コーム)状になっているのが特徴です。なおコームテールとクラウンテールの中間的な個体も存在し、その場合は(一種の)クラウンテールと呼ばれる事が多いようです。

好みの問題もありますが、コームテールもヒレが長い方が美しい場合が多いですね。

 

キングテール

キングテール

こちらもクラウンテールから派生した品種で、通常のクラウンテールとは違い、尾ひれの先がY字に分かれているのが特徴です。なかなか珍しい品種ですので、流通量も少ないですがフレアリングの美しさは絶品といえます。

 


ハーフムーン

ベタの中でも、日本で最も人気が高いのがこの「ハーフムーン」です。尾ひれが半月状に広がることからこういった名前が付きました。

正確には尾ひれが180度広がり、なおかつヒレの形が基準を満たさないと正確なハーフムーンとはいわないらしいですが、正直キレイならそれで良いと筆者は思っています。

色もまた重要で、鮮やかで美しいほど高価になります。価格が最も高い品種ですが、飼育の難易度は非常に高いと感じます。ヒレがかなりデリケートですね。

ある程度、ベタの飼育に慣れてから飼われることをオススメします。また、老いるとヒレがしぼんでしまうので、ハーフムーンが実際に鑑賞に絶える期間は1年~1年半程度と短いです。その後はしぼんだヒレになりますが、飼育方法は変わりません。

また尾ひれが180度以上開く、つまり半円以上に広がるものは「オーバーハーフムーン」と呼ばれます。

 

フルムーン

フルムーンベタの画像

フルムーンと呼ばれる品種は、満月のように丸に近い状態にまで各ヒレが開くのが特徴です。これは実際はダブルテールから派生したもので、通常のダブルテールよりもさらにヒレが大きくなったもの。

このフルムーンも熱帯魚店ではなかなかお目にかかれないです。ベタ専門店でなら入手できます。

 

ヒレの先の色にも名称があります。

このページの「ハーフムーン」の個体のヒレを見ると、ヒレの先が白いですね。これは「バタフライ」と呼ばれます。ちなみに全部のヒレの先が白くないと本当のバタフライとは呼ばないようです。

また、逆にヒレの先が透明な個体もいます。これは「クリアフィン」と呼ばれ、なかなかに希少価値が高いですね。

さまざまな種類がありますが、結局のところは飼育者の「好み」が分かれるところです。ご自身でキレイだと感じる個体が一番良いのかもしれません。

 

 

デルタテール・スーパーデルタテール

3色あるベタの写真

 

これは尾ひれが三角状に広がっている品種で、ハーフムーンに近いくらいにヒレが広がっていると「スーパーデルタ」と呼ばれます。

それよりもややヒレが小さいと「デルタテール」になります。両者ともなかなかに美しく、なおかつハーフムーンよりも安いので好まれる品種です。

なお、画像のような複数の色をもった個体は「マルチカラー」と呼ばれます。

 

プラカット

プラカットは改良品種のベタの中でも、最も野生種に近い形をしています。ヒレも短く、泳ぎも得意な品種で、最も気性が荒いです。

タイにて、ベタ同士を戦わせて鑑賞する、いわゆる「ベタファイト」で使用されているのもこの品種です。その為タイでは一番人気があるそうです。

なお正式名称は「プラガット」ではなく「プラカット」になります。生命力も強く、最も長生きしやすい品種ですね。またごく稀に姿がワイルドベタにそっくりな色のベタが混じっていることがあります。(ワイルドカラーといいます。)

 

鯉ベタ(コイベタ)

鯉ベタは、その名のとおり錦鯉に似た色合いのベタです。最近になってプラカットから派生してきた、かなり新しい品種です。

白地に赤が混じり、さらに黒色も点在し、美しいものほど高価です。一時期は凄い人気でしたが、ようやく一段落した感じです。

色以外の性質は他のベタと変わりません。また大柄な個体も流通しています。

 

また鯉ベタのプラカットを他の品種と掛け合わせて、最近になってハーフムーンの鯉ベタも出てきました。現在ではどの品種でもコイカラーはあるようですね。

 

メスのベタ

ベタのメス

ベタといえばオスばかりが注目されやすいですが、メスにもまた魅力があります。オスと比較すると小柄で、色も地味な個体が多いですが、中にはオスと変わらないほど綺麗な個体もあります。

メスのベタも、各品種のヒレの特徴をもっており、画像のものは「ハーフムーン」のメスになります。全体的にオスよりも食欲旺盛で長寿命ですね。価格も安めなので気に入った色があれば狙い目かもしれません。

 

ワイルドベタ

これはタイなど東南アジアの各地に生息する、野生のベタの総称です。泡巣を作るタイプ(バブルネスター)と、そうでないマウスブリードタイプがいます。マウスブリードタイプのベタは卵を口に入れて子供を育てるタイプで、薄茶色などの独特の色合いが魅力ですね。

このワイルドベタも大変種類が豊富で、現在確認されている品種(約50種)の他にもまだ未発見の物も多く、時々新種のベタが見つかることもあります。野生種独自の、宝石のような色の美しさに魅了されます。

有名な品種としては、「ベタ・マハチャイ」「ベタ・イムベリス」「ベタ・スプレンデンス」などがあります。改良品種とはまた違った魅力がありますね。

特にマハチャイなどは、「スペードテール」という尾ヒレがスペード状になっており、発色も鮮やかで美しいですね。また最近になって「マハチャイエンシス」という新種として扱われるようになりました。

なおワイルドベタは、基本的に野生の生き物なので飼育が難しいです。水質にも極めて敏感で、かつエサも人工ではなく赤虫などの生のエサが必要です。そのかわり性格はおとなしい品種が多く、1つの水槽にオスとメスとペアで飼育することも可能です。

飼育の難易度の高さから、筆者もまだワイルドベタには挑戦していません。今後飼育する機会があれば当サイトで公開していきたいですね。

 

エレファントイヤー

胸鰭の大きいベタ

これも比較的新しい品種で、通常よりも胸ビレが数倍に大型化した品種です。ハーフムーンなどにもこういった個体が見られます。

通常のベタは透明な胸ビレですが、エレファントイヤー(象耳)は色が付いており、とても優雅な印象を受けます。

日本では別名「ダンボ」ともいわれます。

 

ベタのカラー

ベタの色は、無数にあるといっても過言ではないでしょう。白や黒、ブルーにピンク、イエロー、レッド、多色のマーブル、エメラルドグリーン、メタリックゴールドなど、たくさんのバリエーションがあります。お好みの色のベタを見つけてみるのも楽しいですよ。

なお、ベタは成長や体調によっては色が薄くなったり、変色したりします。特に老化すると色が変わりますのでご了承ください。やはり若いときが一番キレイな色が出ます。弱ると色が薄くなり、元気だと色が濃くなります。

また、野生種のベタ・スプレンデンスによく似た色合いの「ワイルドカラー」の個体も稀にいます。「先祖帰り」したのだろうと思いますが、これもかなりキレイですね。

 

イラストでベタのカラーごとの種類を解説します。見本ではベタ・トラディショナルですが、実際はハーフムーンなど多種多様なヒレの形ですのでご了承ください。

 

ソリッド(単色)

ソリッド・ベタ

全身が一色のみの個体。他の色が混じらず、ウロコにも黒い線が入らないものが最上とされます。画像のものだと「ソリッド・レッド」になります。他にブルーやホワイトのソリッド系も多数あります。原色系が多い印象ですね。

 

バタフライ

バタフライ・ベタ

ヒレのフチに沿って白い線が入るのが「バタフライ」。胸ビレにも線が入るのが上物ですが、もしヒレが裂けると元に戻らない弱点もあります。ヒレの白い線が不揃いになって復元される場合がほとんどですね。なお胴体の色は問いません。

 

クリアフィン

ヒレが透明なベタ

バタフライと違って、ヒレの先が透明な個体は「クリアフィン」と呼びます。またヒレが白と透明なら「クリアフィン・バタフライ」になり、より珍しいカラーパターンといえます。クリアフィンもヒレが弱い傾向があるので注意しましょう。

 

ブラックマスク

顔だけが黒いベタ

体色とは別に、顔部分のみ黒い個体。これは割りとよくいますね。好みの問題ですが、外国では顔も胴体と同じ色の個体を「マスク」と呼ぶそうです。「それってただのソリッドですよね」と思わなくもないですが、顔と胴体の色が分かれるのは良くあるパターンですね。

 

バイカラー

2色分かれたベタ

胴体とヒレが2色に分かれているのが「バイカラー」。なかなかバリエーション豊富で、胴体2色、ヒレも2色に分かれているとより価値がある品種といえそうです。それほど高価なカラーではないので、比較的安価に購入可能です。

 

ドラゴン(カッパードラゴン)

金属光沢のベタ

胴体のウロコが光沢のある銀色だと「ドラゴン」と呼びます。またヒレやウロコが金属光沢を持つものを「カッパー」といい、光を反射する姿が大変美しい個体です。両方の特性を併せ持つと「カッパードラゴン」と呼び、日本国内でも非常に人気が高いですね。最も高価な部類に入るカラーといえます。

 

ダルメシアン

ヒレに斑点のあるベタ

なかなかレアな品種で、胴体が薄いオレンジかピンクで、ヒレの色が異なり、かつ斑点状のスポットが付いたものが「ダルメシアン」。日本よりも外国での人気が高く、あまり国内の輸入量はありません。赤系統が70%、青系統が30%くらいかと思います。

 

ラベンダー

淡いローズピンクのベタ

胴体とヒレが明るいピンク色の固体。他の色が混じっている場合が多く、ヒレ先が白い場合がほとんどですね。ヒレのみがピンクでも「ラベンダー」と呼ばれます。この色の系統維持が難しく、将来的には入手困難になる可能性もあります。

 

マーブル

マーブル模様のベタ

マーブル模様で、青と赤を中心に色がのった個体。2色~4色程度の色が付いているのが一般的で、全く同じ色は無いと言えます。見栄えもよく、流通量もあるので入手しやすいカラーですね。これに黒色が入ると「コイカラー」になります。

 

マスタードガス

青と黄色のベタ

胴体がブルー、ヒレが黄色に分かれているのが「マスタードガス」。色が鮮やかなほど高評価なカラーです。国内ではあまり見かけないですが、外国では絶大な人気色です。とくに「ハーフムーン」でマスタードガスだと美しさは圧巻ですね。ヒレのフチに黒が入る個体が多いですが、黄色を引き立てるので評価は変わりません。

 

マルチカラー

3色混じったベタ

マーブル模様にはならず、三色混じった個体は「マルチカラー」になります。青色無しの場合も多く、評価は低いので価格は安く買えるメリットがあります。こちらも同じ色のベタはまずいませんね。

 

トリバンド

3色がキレイに分かれたベタ

ボディからヒレ、ヒレ先までキレイに3色に別れ、各色に混じりがほとんどないのが「トリバンド」。マルチカラーと違い、胴体は基本的に一色のみなのが特徴ですね。かなりレアなカラーで、高価ですね。

 

パイナップル

黄色に黒い線の入ったベタ

日本で「パイナップルイエロー」といえばこれ。全身黄色で、ウロコに黒い線が入っているカラーで、ウロコの線が無いのは「ソリッド」になります。黄色が鮮やかであるほど高価で、国内でも非常に人気が高いカラーですね。

 

ピーバルド

顔だけ白いベタ

ベタの顔部分のみ色が付いていないもの。ピーバルドは「まだら模様」の意味で、この状態のままウロコにスポット模様が付いている物も「ピーバルド」と呼ばれています。なぜこのネーミングになったのかは不明。

 

パステル

パステルカラーのベタ

胴体、ヒレ共に淡い色あいで他の色があまり付かない、暖色系カラーが「パステル」。全体的に薄い色でヒレ先も透明なものが多い。こちらもなかなか人気が高いですね。

 

パステル・ピカソ

金色に輝く、青みもあるベタ

幻の逸品。金色の金属色ベースに淡いブルーが特徴。なお実物はクリアフィンでハーフムーンでしたが。光沢のある金色で、黄金色のこのベタは筆者も写真でしか見たことがないです。銀色は珍しくないベタですが、まさか金色も出るとは…。最もレアなベタといえそうですが、「過去に流通した例がある」くらいで、次はいつ見れるかわかりません。

 

またまだ、ベタの品種は今後増えていきます。

ほかにも、ダブルテールのヒレを大きくして、ハーフムーンよりもヒレが広がり、横から見るとほぼ円形に見える「フルムーン」、通常のベタよりも大型の「ジャイアント・プラカット」などがあります。

また、本場タイではベタのブリーダーが様々なベタを繁殖させ、様々な色合いの品種を作っています。

そして全く新しい形状を持った個体が時々生まれます。こうしてまだまだ、私たちがまだ知らない品種が市場に出てきます。最近では、ハーフムーンのヒレにシワが入って鳥の羽のような形になった新種(ハーフムーン・コンノック)も出てきましたね。

だいたい数年おきに新しい品種が見れます。今後もより美しいベタがショップに並びますので、楽しみに待ってみましょう。

 

最新の流行は「コイベタ」ですね。

ここ1年くらいで、新しく「コイベタ」(鯉ベタ)がもてはやされています。

これは、ベタの体色が白地に赤、または黒も入った物で、まるで錦鯉のように見えるベタです。管理人も熱帯魚店で実物を拝見しましたが、なかなかにキレイな品種でした。「鯉ベタ・ジャイアント」も登場しています。

数的にも少なく、割と珍しいベタです。興味のある方は「鯉ベタ」で画像検索されても見れますよ。