ベタの故郷

ベタの故郷は「タイ王国」です。

ベタはタイ原産の熱帯魚です。昔の日本でいうとメダカのような、大変身近な魚といえるかもしれません。

市販のベタの仲間、近い種の「ベタ属」も含めると、その生息域は広く、ベトナムやカンボジアやラオスといった東南アジアに生息しています。

 

この中で「ベタ・スプレンデンス」という種類の魚が突然変異で様々な色、形の個体が派生し、現在のショーベタになったようです。

一般に流通しているベタはそのほとんどがタイ国内の養殖場(ファーム)で育てられたものです。

国内でも熱帯魚店や個人で繁殖させて流通しているケースもありますが、ごく少数なようですね。

 

野生のベタは、タイ国内の浅い沼地や水田など、ジャングルのような場所の池でもたくさん生息しています。

 

タイではベタは「闘魚」(とうぎょ)

少し意外ですが、ベタの本場ともいえるタイでは、「ベタファイト」といって、闘争心の強いベタ同士を戦わせ、賭け事に使われています。

闘牛のような感覚で、闘うため、勝つためのベタというのが、タイでは普通です。その歴史も長く、700年以上続いているそうです。

日本やアメリカ、ヨーロッパでは完全にベタは「観賞魚」ですが、タイでは「闘魚」で、ベタ養殖の8割が闘魚であるプラカット種。観賞用ショーベタは2割程度らしいです。結構意外ですよね。作出される大半がプラカットなので、新しい品種もよくプラカットから出てくるのもうなずけます。

その為タイでは、ベタ同士の戦いに強い固体ほど高価で取引されています。また傷付いて闘えなくなったベタは繁殖用として飼育され、より強い固体を作出するために育てられます。

 



観賞用ベタはほぼバンコク産

タイでは2割程度の養殖率の観賞用ベタですが、これもほとんどはバンコクの養殖場で生産され、現地でも販売されています。

そのため、日本からベタを買いに来る業者はバンコクにくればいくらでも仕入れられます。

ただ珍しい野生種や、新種のベタを探すとなると地方へ足を向ける必要がありますね。

 

養殖場のショーベタ

タイの養殖場では、ベタは洗面器くらいの大きさのタライで産卵させ、孵化してある程度育てたら、今度は大きな器(300Lくらい?)の容器でオスもメスもまとめて育てます。

ベタは子供のうちはまだ闘争心が少ないので、群れでの飼育も可能です。

幼魚から少し成長したあたりで、今度はオスのみ小さいボトルビンに1尾ずつ入れて飼育されます。これは闘争心が芽生えて他のベタを攻撃させないためですね。

メスはまとめて飼育され、オスはビンで1尾ずつ飼育。成魚にまで成長したら出荷されていきます。

種親になるような個体はまた別に飼育されるようですが、ベタの養殖場(ファーム)ではだいたいこのような流れで生産されているようです。

 

タイで生まれて、はるばる日本まで運ばれてくるベタ。日本で寿命を全うするわけですが、こう考えると感嘆深いものがあります。小さい命ですが、大事に育てたいものですね。

タイのベタ生産業者のみなさんに感謝、です。